村上春樹「ノルウエイの森」 |
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しかしどれだけわすれてしまおうとしても、僕の中には何かぼんやりとした空気のかたまりのようなものが残った。そして時が経つにつれてそのかたまりははっきりとした単純なかたちをとりはじめた。僕はそのかたちを言葉におきかえることができる。それはこういうことだった。 死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。 言葉にしてしまうと平凡だが、その時の僕はそれを言葉としてでなく、ひとつの空気のかたまりとして身のうちに感じたのだ。 |
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