立石二郎「てりむくり」〜日本建築の曲線

プラ・マシュカー・メウ・コラソン   子供と魔法
てりむくり

「日本民族の固有の形と呼べるものがあるとしたら『てりむくり』がそれである。漢字では『照り起り』と書く。『照り』は『反り』とも書き、張られたテントのシートがたるんで凹んだ形状をいい、『起り』はシートが盛り上がって熱気球のように膨らんでいる形状をいう。その二つの形が滑らかにつながった形状を『てりむくり』と呼んでいる。ものの形にたとえると、両端が少し吊り上がった、人の上唇のような形である」立石二郎「てりむくり」

以上のように説き起こして、立石は「天皇と将軍」という日本独特の、権力の二重構造にまで及ぶ。

「ルース・ベネディクトが言うところの権力の二重構造とは『てりむくり』のことである。『照り』と『起り』はこの国では別々に存在することはありえない。(中略)『照り』は次にくる『起り』を用意するものであり、その『起り』はいつの間にか『照り』に滑り込んでいる。この二つは、一つの『てりむくり』である。二元論的な分析手法で見れば二重構造と見える権力の在り方も、実は堅牢なひとつながりの権力なのである」

homegallerynotes
home
notes14
gallery14