エドガー・アラン・ポー「黄金虫」

レクイエム c 秋草
黄金虫
〈ジュピターはユリの木の枝にまたがり、枝先のドクロを見て〉
「髑髏の左の眼も髑髏の左手と同じ側にあるんですかい? …でも、髑髏には手なんかねえだに…まあ、ええだ…左の眼を見つけましただ…うん、これが左の眼だ!これをどうするんで?」
「それに虫を通して、紐をすっかり垂らすんだ。紐を離さないように気をつけろ」
「ちゃんとやりましただ、ウイル旦那。虫を穴に通すなんてわけねえこった…下から見てくなんしょ」
この会話のあいだ、ジュピターの姿はぜんぜん見えなかったのだが、彼がおろした虫はいま、紐の先端で、落日の最後の光を浴びながら、よく磨かれた黄金の球のように光り輝いていたのだ。
 
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