谷崎潤一郎「夢の浮橋」 |
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あんた今でも乳吸うたりお出来るやろか、吸へるのやつたら吸はしたげるえ。 母は一方の乳房を掴んで、乳首を私の方へ向けた。 吸へるかどうや試しとおみ。 私は母の膝頭に私の膝頭をぴつたり摺り寄せ、襟を掻き分けて乳首を唇のあはひへ挿し入れた。最初はなかなか乳が出て来てくれなかつたが、舐つてゐるうちに私の舌の働きは昔の動作を呼び返した。私の身の丈は母より四五寸伸びてゐたが、私は身を屈めて懐の中へ顔を埋め、湧き出る乳をこんこんと貪り吸った。 |
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