「花をや夢と誘ふらん」フィニアスは風のことばを聴いた。 「これは神の声なのか、それとも私が神に一歩近づいたのか」 そう思ふと泪があふれてくる。彼はゆつくりとこうべをめぐらせた。
乱れ舞ふ花の中にゐた。泪に濡れた頬に風が心地よい。 自身で風のことばをつぶやいてみた。 「花をや夢と誘ふらん、花をや夢と誘ふらん」