フィニアス・ニュボーン「君はわがすべて

わが見し夢ぞ   さらば夏の日
君はわがすべて

「花をや夢と誘ふらん」フィニアスは風のことばを聴いた。
「これは神の声なのか、それとも私が神に一歩近づいたのか」
そう思ふと泪があふれてくる。彼はゆつくりとこうべをめぐらせた。

乱れ舞ふ花の中にゐた。泪に濡れた頬に風が心地よい。
自身で風のことばをつぶやいてみた。
「花をや夢と誘ふらん、花をや夢と誘ふらん」

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