「そして私たちはまつ黒な林を通りぬけて、さつきの柏の疎林を通り、古いポラーノの廣場につきました。 そこにはいつものはんの木が風にもまれるたびに青くひかつてゐました。 わたしどもの影は、アセチレンの灯に黒く長くみだれる草の波のなかに落ちて、まるでわたしどもは一人づつ巨きな川を行く汽船のやうな気がしました」