トルーマン・カポーティ「クリスマスの思い出」

ひこうき雲 c シューベルト:ピアノソナタ
クリスマスの想い出

「ああ、私はなんて馬鹿なんだろう!」と僕の親友がはっと息をのんで叫ぶ。
「これは誓ってもいいけれどね、最後の最後に私たちははっと悟るんだよ、神様は前々から私たちの前にその姿を現していらっしゃったんだということを。物事のありのままの姿」…彼女の手はぐるりと輪を描く。雲や凧や草や、骨を埋めた地面を前足で掻いているクイーニーなんかを残らず指し示すように…「人がこれまでいつも目にしてきたもの、それがまさに神様のお姿だったんだよ。私はね、今日という日を目に焼きつけたまま、いまここでぽっくり死んでしまってもかまわないと思うよ」

これが僕らがともに過ごした最後のクリスマスだ。

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