M・デイヴィス「ブルー・イン・グリーン」

ロトの墓   軽い小舟に乗って
BLUE IN GREEN

緑のなかの青、其れは一言でいへば大海原に浮かぶ西瓜の皮であらう。マイルス及び彼のメンバー達は其れを見事に表現した。1959年録音の此のアルバムに於けるこの上ない成果の後、マイルスはもう何も怖いものはなかつた。永遠に揺蕩う豊穣の海。西瓜の皮は、消え去るまでは存在するであらう。存在するうちは消え去ることなく…。
「私の愛は、私の舌より重いのだから…」何処からか声が聞えてきた。彼はこの声に身を委せた。ゆつたりと波間に漂い…ゆつたりと…。
其れからのマイルスの演奏はご存じの通り。だが私に限つたことかも知れないが、「マイルスの聴衆」という立場を維持することは困難を極めた。しかし其れというのもマイルスの行為ではあるまい。

消え去るまでは存在するであらう、存在するうちは消え去ることなく…
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