神々の夢のなごり

月の光のしずかにすべりゆくとき、想ひがすべてのうへに在るとき、我が目には波はうなばらと映らず、森は樹々のあつまりとはみえず、天空をかざるは雲にあらず、峪や丘はもはや地のおきふしとはみえず、うつし世はうたかたの如、すべては神々のみたまふ夢のなごりなり。 シェーンベルク : Gurre-Lieder

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long time ago A long time ago in a White Beach gallery3

人知らぬ風が、おまへの髪を叩きつけ。なんにも知らぬおまへの心に、あやしい響きを伝へたからだ

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2019.02.28「The Fool On The Hill」
五十年前の懐かしいアウラが、ふたつの瞳がこちらを見つめてゐた。

これは夢かうつつか。…虚空も掴む思ひでゐると、ふたつのアウラはぼんやりときえていつた。目が覚め、暗闇のなかで仰向けになつてゐると、胸の真ん中がほっこりと温かい。言葉は交わさずとも、ふたつの瞳がすべてを語つてゐた。

嘗て、私たちは〈F町〉に住んでゐた。天気がよく風の穏やかな日には、遊園地へ行く。向かいあはせに観覧車のゴンドラに乗る。私たちは目を閉じ、ゴンドラがゆつくりと上昇し、ここが頂点だと感じたら、二人は目をあける。この一瞬があはなかつたことは、一度もなかつた。
おそらく誰も信じないだらうが、事実だから書く。ゴンドラが頂点を通過するときは時間の経過が遅くなるのである。この現象は、相対性理論では説明できない。好奇心の強いあなたに、念のためお断りしておくが、遊園地は今では閉園となり、観覧車はない。

The fool on the hill
Sees the sun going down

今、私は独りで〈F町〉の北、〈S町〉の高台に住んでゐる。ふたつの町の間には、多摩川が流れ、ベランダで為すこともなく夕日の沈むのを眺めてゐることがある。とくに思ひを致してゐることもない。いまの自分は、…ヒカルさんの歌詞に近い。

多くは望まない 神様おねがい
代わり映えしない明日をください